脅かしたり、威張る気持ちじゃないですよ。
歯科疾患を軽んじている一部の患者さんへのメッセージです。
昨今、「医者では死ぬけど、歯医者では死なない。」
ゆえに、主導権は歯医者ではなく患者にある。
みたいな感覚の患者さんが増えているように思います。
「まだレントゲンはとらなくていい」
「痛くなったら来るから今は治療しなくていいよ」
気持ちは、よーーく解ります。だから治療や検査のの押し売り
は当院ではしません。
だって、歯医者で死ぬわけないですよね・・・?
ところが、ナメてると歯科での死亡例は多々あるんですよね。
例をいくつか。
・抜歯後出血による窒息死
歯を抜いた後、注意事項がありますよね。
運動、お酒、過剰なうがい、お風呂は控えてね、みたいな。
抜歯後、じわじわ出血は必ずあります。注意事項を守れば大丈夫です。
しかし、ついついお酒飲んじゃいました、お風呂入っちゃいました。
すると就寝後にじわじわ出血があり、さらに不幸にも血液が食道ではなく
気道に入った場合は窒息死します。
・敗血症による死亡例
抜歯後や急性化膿性炎症において、歯科医師の指示に
従わなく、菌が全身に回り免疫が負けて点滴等の
抗菌薬投与が間に合わなかった場合、最悪は死亡です。
・口腔癌
口腔癌は癌全体の2%程度しかありませんが、死亡率は80%です。
理由は「発見が遅れて手遅れになるから」です。
何だか変だ、何かオカシイ。でも痛くないしまあいいか。
口腔内の違和感や不快感はたくさんあります。
理由になる病名も多数あります。その中で最悪、癌だったとしても、
癌全体の2%程度ですから、罹患の可能性は極めて低いと言えます。
しかし、ピンチになってから受診し、口腔外科へ紹介され
不幸にも悪性(癌)だった場合の死亡率は80%です。
今回は、歯医者の病気でも死ぬことあるんですよ。
と、啓蒙のつもりで書きました。
患者さんを脅かすつもりはありません。
ただ、「そういう事もあるんだなー」と覚えておいてください。
Question
幼稚園の健診でむし歯があると言われました。おとなしく治療できるか心配です。痛みもありません。乳歯でいずれ抜ける歯なので、このままにしておいてもいいですか?
Answer
乳歯がむし歯になっているということは、口の中にむし歯菌がたくさんいるということです。このむし歯菌はこれから生えてくる永久歯をむし歯にしやすくします。さらに乳歯のむし歯が根っこにまで広がると、その下にある永久歯が感染してしまいます。むし歯菌に感染した永久歯はそうでない歯に比べ、むし歯になるリスクが高くなり、ひどいときはエナメル質形成不全をおこすこともあります。また乳歯のむし歯は、歯並びにも影響します。むし歯がひどくなって早く抜けたり、大きく欠けたりすると、永久歯の生える場所がズレてしまい、結果、叢生(ガタガタ)になります。
乳歯は軟らかく、歯の溝も深いので、むし歯は進行しやすいです。初めての治療は心配だと思いますが、早く受診した方が小さな治療ですみます。ごく小さなむし歯ならフッ素などを塗って、永久歯に生え変わるまで治療をしないで観察するだけですむかもしれません。理想的には、むし歯になる前に健診を受け、歯ブラシの練習から始め、歯医者に慣れておくといいでしょう。親子での予防健診がおすすめです。
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つくば市を中心に無料で配布されているフリーペーパー「つくまる ~つくばまるごとマガジン~」の中で連載されている『街のお医者さん つくまる相談室』にて当院歯科医師の回答が掲載されています。過去に掲載された記事をバックナンバーとして当院ホームページにて掲載しております。